Prologue

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  疲れているのか、はたまた憑かれているのか、それともこれは夢なのか。 風呂を沸かそうと思って風呂場に行けば、そこに不審な人(?)がいた。 さらさらしたプラチナブロンドの髪に赤い綺麗な瞳。顔に至っては芸能人に勝る出来。一言で言おう。美形だ。物凄く美形さんだ。 ちょっと、これは反則でしょ。世間では不審者は不細工と決まってるんだから。 が、その美形不審者さんにも一カ所だけおかしいところがあった。 見た事もない白い軍人らしき服に身を包んでいたのはいいとしよう。問題は頭部だ。兎の耳が頭に存在していた。 繋ぎ部分が見えないから、兎の耳はカチューシャとかの飾り物ではないらしいが…まさか本物じゃないだろう。だとしたらどうやって引っ付いてるんだろ。 「……何見てやがるのですか」 その口から出てきた言葉は悪い。 敬語なのかそうじゃないのか分からないけど、物凄く悪い。外見が外見だけに破壊力が増してるわ。 いやいや、ぼーっとしてる場合じゃない! 「…あ、あんたこそ何よ…!?」 そう叫んだらぴくりと美形兎男の眉が反応した。そしてちらりとこちらを見ると、これみよがしにため息なんぞ吐きやがった。やれやれ、とか言われてる気がする。 くぉら。喧嘩なら買うぞ、この兎耳不審者。 って喧嘩買ってどうするの私。 確かに口調や態度はすごーくムカつくが、ここで何か反論して逆上されて危害でも加えられたらたまったもんじゃない。そうならないうちに、さっさとこの兎耳付けてる美形な不審者を家から追い出さなきゃ。 でも、一体どうやって入ったんだろう。 かなり気になるけど、何か怖いから追求しないでおこう。どうやって入ったか、なんてのは後で考えればいい。 今は不審者を家から追い出すのが先だ。  
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