怖いおとうさん

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お母さんに止められたお父さんは 「小夜子がうるさいからだ💢おれは疲れとるんだぞ❗下で寝かせろ❗」 と言って布団へ戻って行った。 お母さんは私の鼻血を拭いて、気持ちを落ち着かせようと抱き上げて、弟が眠る布団の隣へ私を寝かせた。 私は泣き疲れて、お母さんの手を握りしめて眠りに付いた。 -翌日。 「ただいまー。」 私はいつものように学校からお店に帰った。 「おかえり~。」 おかあさんは優しく言ってくれた。 おとうさんは、私を見ることもなく 何も言わなかった…。 おとうさん、まだ怒ってるんだ…。 奥の部屋に行くと、先に保育園から帰った弟がテレビを観ていた。 「おかえりー」 かわいい笑顔で言う弟。だけど私は気持ちが沈んでいたせいで、 笑顔にはなれなかった。 弟と一緒にテレビを観ていると、少ししてお母さんが来た。 「小夜子っ。」 「はい。」 部屋の入口から私を呼ぶ。 私は駆け寄った…。 「昨日のこと、お父さんに謝って来なさい。」 …そうだよね。 私が悪い子だから…。 「うん。」 私はそう言うと、部屋を出て、カウンターで仕込みをするお父さんの元へ向かった。 肉切り包丁で豚足をざくざく切るお父さん。顔は怒ってる…。 怖い…。 私は自分の心臓の音が聞こえてくるほどドキドキビクビクしながらお父さんに声を掛けた。 「…おとうさん」 お父さんは、返事をしないどころか、 まるで聞こえていないかのように黙々と豚足に包丁を入れる。 私は続けた。 「昨日はごめんなさい。」 お父さんは一瞬止まって、 豚足を見たまま冷たく言った。 「なにをだ⁉」 ビクッ。 ドスの聞いたお父さんの声…。 「よ…よるに泣い…て…おとう…さん…起こし…てごめ…んな…さい」 怖くて涙が溢れ、 声が震えた。 「ん。」 お父さんは私を見ることなく、そう一言だけ言った。 私はどうしていつもおとうさんを怒らせるの? そのたびにおかあさんにも迷惑を掛けて。 どうしてこんなに悪い子なの? 弟の隆はいい子だから、ちっとも怒られないのに。 いい子にならなきゃ…。 私は怖いのと、なんだか寂しい気持ちでいっぱいで、奥の部屋に戻ると、声を押し殺して泣いた。 声を出して泣いたら、また怒られるから。
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