おじいちゃん家

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毎日のようにお父さんに怒られて、 殴られることも少なくなかった…。 だけどそれは、私が悪い子だからだと思ってた。 この日までは…。 -小学5年生のある日 私はいつものようにおじいちゃん家に遊びに来ていた。 私はおじいちゃん達と同居している、5才年上の従姉妹の美奈ちゃんの部屋で遊んでいた。 コンコン。ガチャッ 「ご飯の時間だよ。小夜ちゃんも食べるでしょ?下へおいで。」 おばあちゃんが呼びに来た。 「はぁーい!すぐ行く!」 私と美奈ちゃんは声を揃えて返事をして、一階のリビングへ下りた。 「うわぁ✨おいしそう!」 テーブルに並ぶのは いくつかの煮物に、白菜の浅漬け、たくあんにご飯とみそ汁。 おばあちゃんは “年寄りの質素な食事”と言っていつも笑うけど、私はこのシンプルな食事が好きで、おばあちゃんの作る煮物は特に大好きだった。 おばあちゃんは私にいつも、 「唐揚げ作ろうか? ウインナーもあるよ?」 と、子供の好きそうなおかずを提案してくれたけど、私の返事はいつも同じだった。 「ううん。いらない。これだけで十分だよ😃」 おばあちゃんとおじいちゃんは 「年寄りか💦」 と言って笑う。 熱くて渋いお茶を飲みながら、なんでもない話をして笑って。 温かい団欒の中、夕飯の時間は楽しく過ぎた。 だいぶお腹が膨れて、締めにご飯が少し残ったお茶碗にお茶を注いで、味わいながら飲んでいると…。 トゥルルルル… トゥルルルル… 電話が鳴った。 「小夜ちゃんのお母さんかもねぇ」 と言いながらおばあちゃんは受話器を取った。 「もしもし。うん。いま食べさせたとこだわぁ。うん。いるよ。はい、待ってね。」 おばあちゃんは電話で話しながら私の方を見た。 「お母さんだよ」 私はおばあちゃんから受話器を受け取った。 お母さんは焦った様子で話し始めた。 「もしもし小夜子?もうご飯食べちゃったみたいだね💦今日はお父さんがしゃぶしゃぶにしようって言って、いま美味しそうなお肉買って来たんだわ😃」 「え!そうなの?」 「うん。それで、小夜子がしゃぶしゃぶ好きだから、買物から帰ってすぐ電話したんだけど…。 いいお肉だから、よかったら帰って来て少しでも食べたらどぉ?」 「いいねぇ!ありがとう。そうするよ。」 「じゃあ今から迎えに行くから用意して待っとってね😃」 「はぁい。わかったぁ🎵」
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