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逃げ場所
そんな陰湿な嫌がらせが続く日々の中、私は夕飯の時以外は部屋に引きこもるようになっていた。
小学5年の2学期の終わり頃、約3年通った学習塾の先生のすすめで、私は私立中学の受験を決めていた。
毎日学習塾に通い、夜は家庭教師。
夏休みにも毎日弁当を持って学習塾へ行く。
朝は先生の出勤時間に行き、帰りも先生と一緒に帰る。
塾が休みの日にも、家で勉強。
"勉強"を口実に引きこもるこの頃の生活は、いやな父親から逃げたい私には、絶好の環境だった。
日曜日になると、毎週どこかへ出かける青山一家だったが、"受験のため"と言って、私だけ留守番していた。
毎回断って留守番する私に苛立った父親が、嫌がる私を無理矢理引っ張り出した事もあった。
「勉強ばっかりやっとるな‼遊びに行くぞ‼」
「いやだ‼いい‼家で勉強する‼」
それほど私には、"家族"と一緒にいることが、苦痛で仕方なかった。
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