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母親の愛情
家庭内で、父親から陰湿ないじめを受けていた小5のある日、学校でこんな宿題が出た。
先生「明日は、みんなが生まれた時間や、生まれた時の体重が書いてある"母子手帳"を持って来て下さいね。お母さんに、みんなが産まれた時の話も聞いて来てね。」
母子手帳か😃
私は家に帰るとすぐにお母さんに、
「明日学校に持って行くから、母子手帳出して。」
とお願いした。
「母子手帳?あるけど…。持って行って、学校で何するんだろうね💦」
そう言いながら、すぐに出して来てくれた。
「お母さん、私を産んだ時の話教えて⤴」
「あんたを産んだ時はね、ほんとに難産でね。病院で5本の指に入るほどの難産だったって、先生に言われたのよ😃」
「そうだったんだ。痛かった?」
「痛かったっていうより、途中で失神しちゃって…。看護婦さんがふたりお母さんの上にまたがって押し出して、先生が鉗子で引っ張り出したんだよ。」
「うへぇ💦そうだったんだ。」
「ここに残ってるのはその時の鉗子の跡だよ。」
お母さんは私のおでこを指差した。
「あ、これそうだったんだ?」
私のおでこには小さな丸い跡が今でも残ってる。
お母さん、大変だったんだ…。
「それでね、あんたは産まれた時は息をしてなくて、仮死状態だったの。先生が足を持って振って、飲み込んだ羊水を吐かせて、おしりを叩いたりして…。そしたらやっと、"グエッ"って泣いたの😃お母さん途中で意識が戻ったんだけど、可哀相で見ていられなくて。心の中で、生きて❗生きて❗って叫んだ。神様に、あの子を助けて❗って、祈ってたのよ。あんたの声を聞いた時はほんとに嬉しくて、涙が止まらなかった」
お母さんは、話しながら目を赤くしていた。
「お母さん、大変だったんだね。ありがとう。」
「大変だったのはお母さんよりあんたよ😃」
お母さんは目に涙を溜めながら、優しく笑った。
お母さん、私を愛してくれてるんだね。
ありがとう。
「あんたにこれもあげる。産まれた時からつけてた日記だよ。いつか渡そうと思ってたんだけど、いい機会だから。」
渡されたのは、B5サイズのピンクのノート。
ディズニーの柄で、薄いビニールカバーがついていた。
その時はお母さんの言った"いい機会"という言葉を、気にも留めなかった。
「お母さん、日記つけてたんだ。」
「うん。隆の分もあるよ。隆のは青いノート。」
私はお母さんの深い愛情を感じて、胸が熱くなった。
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