-始まり-

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  (何これ…?) ゆっくりと体を起こし その 何か を拾う。     それは隣の隣の列に座るMからの手紙だった。 授業中に手紙を書いて投げるのは この頃日常茶飯事で、先生が黒板に文字を書いている間、 あちらこちらで小さな紙と男子のつくった紙飛行機が飛ぶ。 カサッ パサッ という音が 連続して聞こえる。 先生はきっと…いや、 確実に気付いているだろう。 あの時の私達は気付いてないと思っていたが。     Mからの手紙を開く。 可愛らしい紙にカラフルなペンでかかれた文字。   ―――――――――― 次の休み時間さあ 4組行って良い? なんか呼ばれてんだよねー。 ダルいんだけど、みたいなね。 うち1人とか嫌だから ユカにもついて来て欲しいんだけど…   ってか、 お前寝るなよっ!!笑 ――――――――――   …はぁ 私はため息をつく (これで何回目だろう…)   Mはモテる。 放課後男子に呼ばれたりするのは しょっちゅうだ。 それに毎回付き合う私   Mには彼氏がいた 小学校の時から両思いで 中学に入って付き合った 学年でトップクラスの彼氏が。   そのことを知っている人は少ない。 Mの彼氏はバレたくないらしく秘密にしてほしい と言っていた。   「彼氏がいる」 と言えれば良いのに言えず、 毎回 毎回 「忘れられない人がいて…」 と言う。 私は堂々と付き合えないMが可哀想に思えた。   (今回も同じこと言うのかな) とぼんやり余計なことを考えていると 終わりを告げるチャイムが鳴った。 素早く教科書とノートをしまい 号令係が号令をかける   「「「有難う御座いました」」」     席をたち、Mの元へ向かう。 Mは申し訳なさそうな顔をして 「いつもいつもごめんね」 と言った。 「全然良いよ。今日は誰?」 私は気にしないで と笑いながらMに言う。  
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