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走り続けたピエロは
衣装を脱ぎ去れば
どうしようもなく ただ
透明だったんです
涙を呑めば空に笑われ
足を止めれば大地に笑われるから
仕方のないことでしょう
愉快な曲を うるさく奏でて
ここに自分はいる と
誰に向かって笛を吹くのでしょう
本当の声は
誰も知らない
走り続けたピエロが
足を止めたのは
どうしようもなく
雨を待ちたかったから
涙を流せば 空も泣き
しゃがみこんだ大地に
撫でられた時から
彼はピエロをやめたのです
嗄れた声で 弱い歌を
何処にも自分はいない と
割れた鏡を 過去に残して
前を向いた時
明かりは灯るのです
虹も見えるでしょう
本当の声で 過去の歌を
“何処にも自分はいなかった”
足跡の上には
割れた鏡と
極彩色のピエロの衣装
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