《須藤 莉奈》-1-

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

《須藤 莉奈》-1-

「……おはよう」 「おはようございます莉奈さん。後3分くらいで一時間目始まりますよ」 「敬語キモい。SHRルイージなンか言ってた?」 「キモいって酷いな!?何か今日放課後バス通と電車通の生徒は話あるから体育館集合だって」 「げ、…めんどくせ…」 言いながら、一時間目の国語の教科書を出すと机に突っ伏しているぼくの隣りの席の女子。 彼女の名前は《須藤 莉奈》(すどう りな)。 ちなみに《ルイージ》はウチのクラスの担任。鼻がマリオっぽいのだけど、どうみても主役より脇役って感じなのでいつの間にやらあだ名がルイージに決定していた。 莉奈は電車通で、低血圧。 よって、家を出るのが早いせいもあるのか朝は物凄く不機嫌で怖い。SHRは寝ていることが多いので、一時間目前にぼくが起こしている。 莉奈は元不良で、中学時代イロイロやってたそうだ。 気弱なぼくなんかは、その当時に出会っていたなら100パーセント苛められていただろう。(これはぼくと莉奈の意見がきっちり合致した) なら何故今友達になっているのか。 ぼくが莉奈と仲良くなった原因は、沙弥だった。 入学当初から、莉奈はクラスで一人だった。 かと言って、ぼくや沙弥の様に友達がいなかった訳ではなく、ことごとく同中出身者が別クラスになっていたからだ。 まぁそれがなくとも、莉奈は一匹狼の様で、《眠い・不機嫌・近付くな》というオーラを振りまいていた。 ぼくでも気付くそのオーラを意に介さず、沙弥は莉奈に声をかけたのだ。 「須藤さんお昼一人で食べてるよね、良かったら一緒に食べない?」 「え、…うん、いいけど」 傍から見れば、どうみてもいじめっこといじめられっこにしか見えない二人が、互いの中学の話などをしつつ弁当を食べている様子を見て、ぼくは沙弥の恐いもの知らずな突進的性格に驚いたのだった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!