《清水 沙弥》-1-

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「おはよー!」 「…おはよ。今日もぎりぎりだったね」 「えへへ、寝癖なおんなくて~」 笑いながらぼくの斜め前の席に腰を降ろした女子。 名前を《清水 沙弥》(しみず さや)と言う。 ちなみに寝癖は直りきっていない。(教えない) 彼女は、家が学校に比較的近いせいか(ぼくはバス通)、いつも遅刻ぎりぎりに来る。 しばらく一緒に居て思ったが、どうも時間にルーズらしい。 「今日一時間目なんだっけ?」 「国語。便覧持って来た?」 「!」 「…忘れたんだ?」 「どうしよう~…っ」 「…SHR終わったらすぐ借りに行こう」 「うん、ごめんねっ」 ここで丁度チャイムが鳴り、担任が入って来てSHRが始まった。 沙弥と友達になって数日、気付いたことは時間にルーズなこと以外に、コレだ。 忘れ物が多い。毎日何かしら忘れてくる。 英和辞書だとか、体育館シューズだとか、弁当の箸だとか。 その度に、図書館に借りに行ったり、体育教官室に借りに行ったり、食堂に貰いに行ったりするのに付き合わされた。 別段それは構わない。 構わないのだが、沙弥は歩いていると何もない場所でつまづく。 人にぶつかる。 たまに無機物にもぶつかる。(柱とか) 要するにドジ、だ。 それも絵に描いた様な! …ベタな少女漫画みたいな!!
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