《清水 沙弥》-1-

3/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
沙弥とは入学式の日に友達になった。 他県の中学から受験して、わざわざ親戚の家に居候してこの高校に通っているらしいが、同中の子が一人もおらず、クラスの場所も分らず不安だったらしい。 ボケーっと自分のクラスの列に並ぼうとしていたぼくに、沙弥は話しかけて来たのだ。「ここって8組?」と。 まぁそんなことがあり、教室に入ると席が斜め前と近かったことと、お互い同中の友達がいなかったこともあり、ぼくと沙弥は仲良くなった。 「…お腹すいた…」 「あはは、授業中お腹鳴ってたでしょ~」 「うっそ、聞こえてた!?うわー恥ずっ!」 中学よりも授業時間が延びている高校。 やたら眠くなるし、お腹が空く。なんの魔力が働いているのかと思う。 「じゃあ早く食べようよー」 「あ、うん。いただきます」 「いただきまーす♪」 沙弥はピンク色の小さな二段の弁当を広げている。 持ち物にはピンク系が多い。ついでに私服も。 あと苺柄とか。 愛読書はりぼん。毎月購読しているそうだ。 種村有菜が好きらしい。(借りて読んだが、あれを小学生が読んで解るのだろうか?) 今、沙弥はぼくの前で弁当を食べている。 傍らには好物だという《いちごミルク》が置かれている。 白米を食べ、いちごミルクで流し込む。 初めて見た時はぼくも驚いた。 牛乳ならまだしも。いちごミルク。 「甘くないの?」と聞いたら、「美味しいよー?」と返事がきた。 凡人のぼくにはとても真似出来ない。(ぼくじゃなくても無理か?) とにかく甘いものが好き。 可愛いものが好き。 少女漫画が好き。 ひらひらふわふわな服や小物が好き。 加えて、料理下手。 裁縫苦手。 かなりのドジっ子で少女漫画が大好き。 そして、清水沙弥はもうひとつ、大きな個性がある。 惚れっぽいのだ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!