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沙弥とは入学式の日に友達になった。
他県の中学から受験して、わざわざ親戚の家に居候してこの高校に通っているらしいが、同中の子が一人もおらず、クラスの場所も分らず不安だったらしい。
ボケーっと自分のクラスの列に並ぼうとしていたぼくに、沙弥は話しかけて来たのだ。「ここって8組?」と。
まぁそんなことがあり、教室に入ると席が斜め前と近かったことと、お互い同中の友達がいなかったこともあり、ぼくと沙弥は仲良くなった。
「…お腹すいた…」
「あはは、授業中お腹鳴ってたでしょ~」
「うっそ、聞こえてた!?うわー恥ずっ!」
中学よりも授業時間が延びている高校。
やたら眠くなるし、お腹が空く。なんの魔力が働いているのかと思う。
「じゃあ早く食べようよー」
「あ、うん。いただきます」
「いただきまーす♪」
沙弥はピンク色の小さな二段の弁当を広げている。
持ち物にはピンク系が多い。ついでに私服も。
あと苺柄とか。
愛読書はりぼん。毎月購読しているそうだ。
種村有菜が好きらしい。(借りて読んだが、あれを小学生が読んで解るのだろうか?)
今、沙弥はぼくの前で弁当を食べている。
傍らには好物だという《いちごミルク》が置かれている。
白米を食べ、いちごミルクで流し込む。
初めて見た時はぼくも驚いた。
牛乳ならまだしも。いちごミルク。
「甘くないの?」と聞いたら、「美味しいよー?」と返事がきた。
凡人のぼくにはとても真似出来ない。(ぼくじゃなくても無理か?)
とにかく甘いものが好き。
可愛いものが好き。
少女漫画が好き。
ひらひらふわふわな服や小物が好き。
加えて、料理下手。
裁縫苦手。
かなりのドジっ子で少女漫画が大好き。
そして、清水沙弥はもうひとつ、大きな個性がある。
惚れっぽいのだ。
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