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『うん。さっき電話を貰ってね、彼が同じホテルに居るって言うから、お願いしちゃった』
という事は、この男は父の知り合い?
だったら何故、あんな脅迫じみた事を言ったんだろう?
『彼の特徴は、背が高くてかなりの美貌の持ち主だから、きっとすぐに分かるよ』
確かに、僕の腕を掴んでいる男の特徴に当てはまる。
「もう、一緒に居るよ。ただ、何の説明も受けてなかったから、ちょっと吃驚しただけ」
『ごめんね。だけど、彼は信用出来る人だから安心していいよ』
父には悪いけれど、とても僕には信用できそうもない。
「忙しいのに、ごめんね。じゃあ、仕事頑張って」
『うん。またね』
電話が切れたのを確認して、僕は思わず溜め息をついてしまった。
「納得したか?」
したくはないけど、納得するしかないんたろうなぁ~。
「とりあえず、状況は分かったから、腕を放してもらえませんか?」
後半部分は、この男に対する嫌味。
勿論、この程度でどうにかなるような相手ではない事ぐらい、さっきまでの行動を見ていれば判る。
「見た目以上に、気が強そうだな。それともただの怖いもの知らずか?」
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