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アレンは少年の話を聞いて嬉しそうに戻って行った。
「これで良いんですね。神田」
少年は柱の影に隠れていた人物にそう言った。
「あぁ」
神田はゆっくり柱の影から出て来た。
「まったく、こんな理由くらい自分で言ったらどうですか?」
少年は苦笑してそう言った。
「お前…俺の性格、分かってんだろ?」
神田は少年を睨んだ。
「はいはい。あ、約束ですよ」
「何がだ」
「神田のおすすめの蕎麦屋、連れてってくれるんですよね」
少年はニッコリ笑った。
「そんな約束したか?」
「今約束してください。神田」
「まぁ…それくらいならな」
「はい」
少年は嬉しそうにそう言った。
少年が<モヤシ>とつけられたアレンに敵うことはない。
(僕はただの化学班、神田が振り向いてくれる訳ないんだ。力のない俺なんか…ね)
少年はたばこをふかしていた。
「そんなもん吸ってると、体に毒さ」
「…ほっといてくれぇ」
(たばこくらい吸わないとやっていけないよこの片思いは…)
たばこの煙は高い空に吸い込まれていった。
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