あだ名の理由

3/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
アレンは少年の話を聞いて嬉しそうに戻って行った。     「これで良いんですね。神田」 少年は柱の影に隠れていた人物にそう言った。 「あぁ」 神田はゆっくり柱の影から出て来た。 「まったく、こんな理由くらい自分で言ったらどうですか?」 少年は苦笑してそう言った。 「お前…俺の性格、分かってんだろ?」 神田は少年を睨んだ。 「はいはい。あ、約束ですよ」 「何がだ」 「神田のおすすめの蕎麦屋、連れてってくれるんですよね」 少年はニッコリ笑った。 「そんな約束したか?」 「今約束してください。神田」 「まぁ…それくらいならな」 「はい」 少年は嬉しそうにそう言った。     少年が<モヤシ>とつけられたアレンに敵うことはない。   (僕はただの化学班、神田が振り向いてくれる訳ないんだ。力のない俺なんか…ね) 少年はたばこをふかしていた。 「そんなもん吸ってると、体に毒さ」 「…ほっといてくれぇ」 (たばこくらい吸わないとやっていけないよこの片思いは…) たばこの煙は高い空に吸い込まれていった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!