「夜市」

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(ホラーですが、あまりに上等な読み心地のため、怖くありません🆗) 「紗央里ちゃんの家」を読んで、同じホラーでもこんなにも違うんだなぁという作品。 第12回日本ホラー小説大賞受賞作‼ 大賞ですから。 同賞「史上最高傑作」の名に恥じない質の高さだと思います。 以前読んだけど、また借りてきました。   夜市。いくつかの世界が交わる場所に、あるサイクルで出現し、妖怪やおかしな生き物が店を出す不思議な市場。 夜市には、ないものはない。何でも売っている。でも、何か買わなければ、もとの世界には戻れない… 少年の日、幼い弟と夜市に迷いこみ、「野球の才能」の代金として、弟を売った裕司。 翌朝目を覚ますと、弟はこの世に始めから存在しなかった事になっていた。   夜市の雰囲気は、怖い…というか?、妖怪っぽい感じはする。 日本のおばけ屋敷の雰囲気。懐かしいような、ちょっと笑えるような。 ただそこに、屋台の後ろにある闇がどこまでも深く、底無し。闇の中に浮かんでいる感じ。 一見、普通のお祭り。でも、根本的に何かが違う。店番も、売っている品々(何でも斬れるが岩に刺さって抜けないままの刀、早く老いる薬、生首etc)も、値段も。  以前に読んだ事もあり、「この人が実は」と知っていて、殆ど泣き通しで読みました。 たまらない。 お母さんの作ったおやつのクレープ。 お兄ちゃんと食べながら、アニメの始まるのを待っている…弟の、大切な思い出。  可哀想で、せつなくて。   私にとってこれはホラーでなく、悲しい兄弟の物語です。 美しい、気品のある文章。 いちいち映像が浮かぶ。 細かく狂いなく張り巡らされた伏線が結ばれた時、空の上から全てを見下ろしているような気持ちにすらなります。   これはおすすめです✨ もう一作品収録されています。「風の古道」。これは、グロっぽい描写もあるけど、さわやかな… こちらはまた、別の章で😌image=136265102.jpg
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