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そう、ふんわりと言い、
「カーネーション、リモニウム、カスミ草」
と、花の名前をその物を差しながらつぶやいた。
殺しの下見の最中に、花を愛でる彼女の神経に半ば呆れ半ば愛らしさを感じながら、頭の別の部位では、『これは使える』と言うひらめきを感じて居た。
墓参の時、天童は必ず自ら花を変え、墓を掃除する。絶対に他人は任せない。
ならばこの花束に仕掛を施そう。
彼がこれを掴んだ時に、毒を注入する様な仕組みを作り、仕込めば良いのだ。
即座にある男の連絡先を思い出しながら霊園を後にする。
業界で『マイスター』と呼ばれる男は、金さえ払えば銃や爆薬以外なら、どんな殺しの道具でも作り出し、売り捌く事で知られていた。
私は『マンネ』に彼と連絡を取る事を指示しする。
彼女が素早くメールを送ると、程なく移動中の車内で返事が来た。
今晩、早速会えると言う。場所は彼が行き着けのクラブ、
個人的には騒がしいのは嫌いだが、剣呑な相談をするには、最高の場所かもしれない。
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