その殺し屋の『仕事』第二章

9/13
前へ
/76ページ
次へ
そう、ふんわりと言い、 「カーネーション、リモニウム、カスミ草」 と、花の名前をその物を差しながらつぶやいた。 殺しの下見の最中に、花を愛でる彼女の神経に半ば呆れ半ば愛らしさを感じながら、頭の別の部位では、『これは使える』と言うひらめきを感じて居た。 墓参の時、天童は必ず自ら花を変え、墓を掃除する。絶対に他人は任せない。 ならばこの花束に仕掛を施そう。 彼がこれを掴んだ時に、毒を注入する様な仕組みを作り、仕込めば良いのだ。 即座にある男の連絡先を思い出しながら霊園を後にする。 業界で『マイスター』と呼ばれる男は、金さえ払えば銃や爆薬以外なら、どんな殺しの道具でも作り出し、売り捌く事で知られていた。 私は『マンネ』に彼と連絡を取る事を指示しする。 彼女が素早くメールを送ると、程なく移動中の車内で返事が来た。 今晩、早速会えると言う。場所は彼が行き着けのクラブ、 個人的には騒がしいのは嫌いだが、剣呑な相談をするには、最高の場所かもしれない。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

191人が本棚に入れています
本棚に追加