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「墓に供える花束に仕込める毒針を作ってもらいたい。条件は三つ、一つ、目立たない事、二つ、燃える事、三つ、痛く無い事」
それを聞いた『マイスター』は、肩を揺らせ静かに笑う。
「胸の肉を1ポンド切り取れ!ただし血を一滴も流す事無く・・・。『ベニスの商人』だね、まるで、痛く無い毒針なんて」
「出来るのか?出来無いのか?」
あえて畳み掛ける様に聞く、この男、放って置くと、こうして延々と笑い続けるだろう。
思った通り、『マイスター』は笑うのを止め、私を睨んで言った。
「僕に出来ない物なんて無い」
彼の『マイスター』としての自尊心に火が着いた瞬間だった。
これがなければ、一分たりともまともに立って歩けはしないだろう。
酒と薬、そして女に男、身を持ち崩す物全てに耽溺している彼にとって、仕事とは生きる糧以外の意味がある。
「実を言うと痛くない注射針と言うのは実在する。そいつを目立たない様に加工するのは簡単さ、問題は燃える様にする事だけど、これは素材を融点が低い金属にすれば行けると思う。十日程時間が欲しいな、」
「それは時間の掛けすぎだ五日以内に何とかしろ、ただし、金に糸目は付けない。」
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