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私がそう切り返すと、『マイスター』は今までとは打って変わった、生き生きとした笑みを満面に浮かべた。
「良いね!最高だね!過酷な注文は僕を更にエレクトさせてくれるファクターだよ、」
そして、彼は私の首にその華奢な腕を回す。
「それを毎度押し付けてくるあんたは、僕のヒーローさ、愛してるよ!殺し屋さん!」
言うなり冷たく、湿り気をおびた『マイスター』の唇が私の耳たぶを捉え、舌が更にそれを舐め上げた。
背中で一億匹のゴキブリがマラソンを始める。
彼の腕を払い退け、私は立ち上がる。
「ご指定の通り、五日で作品は仕上げるよ、受け渡しはこの店で、楽しみに待っててくれ」
浮かれ口調でそう言う『マイスター』を残して私はクラブを出る。
背後では彼が、再び女達を左右にはべらせ、ひらひらと手を振っていた。
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