絶対的アイソレーション

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問題はその後の展開かな? 原因究明及び元の世界への帰還を果たすための手段を探す目的で「如月」の持ち物を調べたところ、地図にとある印と鍵を見つけます。 その印部分に用があり、鍵はどこかで使用すると考えるわけですが、ここで新たに謎が提示されています。 印(赤い)を地図上で見ても正確な建物まで把握出来ず、場所が特定出来ないということです。 この謎を解明するためにとりあえず現地に向かってみたものの……作戦は練り歩いてそれらしき場所を見つけるというものであり、偶然にもその場所を見つけてしまう、といったストーリー展開でした。 ミステリーにおいて、偶然が支配するこういう展開は謎解きにならないためにあまり好ましくありません。 前作「朝目覚めると全世界が敵だった」のときにもサークル内でアドバイス依頼を受け、その際に「襲い来る敵を前にして、偶然助かったという展開ではダメだ」と言いました。 その理由は、サスペンスの語源がズボンのサスペンダーから来ていて、観客の心を宙吊りにするという意味合いを持つのだから、危機的状況により緊張感を演出し、それを自力で乗り切る構造にするべきだ、と説明しました。 重複するようですが、構造的にはこれと同じで、偶然助かった、偶然謎を解いてしまった、では展開的に読者は納得出来ないものです。 ミステリーとして謎を提示したのですから、推理して謎を解く構造が正しいと思います。 例えばですが、地図上につけた印ですから、地図記号が関連しているとか。 どんな形であれ、主人公にはぜひ謎解きながらストーリーを進めていってもらいたいです。
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