死して尚断ち切れぬ鎖はいずこへと

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さて、ミステリーということですのでまずは謎が提示されます。 父親の死になりますね。 誰が殺したのか、いつ殺したのか、目的はなんなのか? 物語の引きとしたら、クラウチングスタート成功といった感じの滑り出しです。 早めに事件を起こすのは物語の鉄則ですから。 ですが、ここで一つ問題があるとすれば、謎である事件の詳細についてあまり触れられていないことです。 この作品はミステリーですので、謎解きという要素が絡んできます。 ユウマくんの「絶対的アイソレーション」でミステリーの書き方について触れましたが、まずは謎の提示から始まり、謎解きの鍵を用意すると言いました。 この作品では父親殺害事件が謎となりますが、その詳細が省かれたことで「鍵」の行方が不明ともなっています。 どうやって殺されたのか、凶器は何か、死因や死亡推定時刻、目撃情報や遺留品などなど。 様々な要素が事件には付き物です。 これらを書いておくことは、読者が推理する上で大事な要素ともなります。 たとえ、それが事件に関わりがないことであっても、関わりがあるのではと思わせる書き方をしておくことで読者は推理をし始めます。 ですので、詳細を省いていることで推理する材料が存在しない状態になっているのが問題であるかと思います。 パソコンのメールが事件の真相に関わる大事な要素であるのは見て分かりますが、それ以外にも推理する材料を散らばせておくことをお勧めします。
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