死して尚断ち切れぬ鎖はいずこへと

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続いて文章作法ともなりますが、一部分だけ三人称小説であるはずの書き方の中で「俺」という人称が地の文で現れて一人称小説となってしまっています。 気をつけてください。 同時に、視点についてさらに深く突っ込んでいきます。 小説の「いろは」では、存在する視点は二つと言いました。 ですが、詳しく言えば三つあったりします(笑) 残りの一つは何か?というと、ずばり中間です。 「一人称よりの三人称」という言い方が正しいかな? これだけだとわかりづらいので解説します。 一人称は地の文にて、「俺」や「私」といった人称で描く登場人物からの視点を中心とした書き方になります。 三人称は、第三者からみた書き方での「神の視点」ですね。 これが「一人称よりの三人称」となると、三人称小説では遠目から全体を見渡す書き方であるのに対し、神の視点をとある人物に定めて近寄る技法になります。 視点を一人に当てて重ねる、という説明で分かるかな? 第三者的観点からの地の文でありながら、定めた人物の視点も常に交えることで心理描写や情景描写を人間的にこなすことが出来ます。 ただの三人称だと客観的で堅苦しい文章になりがちですが、視点をキャラに寄せてキャラの心情も混ぜ合わせることで堅苦しさを消すことが出来ます。 カメラワークで言うところの「ズームアップ」ですね。 これがなかなか難しく、視点がズレやすくて一人称と三人称の混同が引き起こされかねない諸刃の刃ともなります。
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