死して尚断ち切れぬ鎖はいずこへと

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一転して今度は素晴らしい部分になりますが、一際目を引く描写を見つけました。 シーンは、父親が殺されて警察官に現場を荒らさないように違う部屋で待機していてくれ、と言われた場面です。 そのときの一文がこれ↓ 一階に集まった家族は自分の家に見えない程、よそよそしく椅子に腰を掛けていた。 この描写の良さが分かりますか? たった一文で家族の状況を表しただけではなく、沈痛な面持ちや張り詰めた空気などといったその場の雰囲気までもを「自分の家なのに自分の家でないような立ち振る舞い」という形容によって表してしまっています。 優れた描写とは、こうしたあらゆる要素を言い含める文章をいうのだとボクは思っていますが、まさしくミカンさんは描写に関して一際光るものを所々で垣間見せてくれます。 感性の領分なのかもしれませんが、こういう文章が思いつくという点にめちゃくちゃ憧れます。 一長一短の小説ですが、だからこそ成長の余地がたくさんあるかと思いました。 ストーリーやキャラ作りがなかなか上手いので、文章関連を意識して上達に導ければより良い小説になるのは間違いないです。 頑張ってください。
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