生物学的椅子取り遊戯

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さて、出だしの「惹き」に関して言及しますが、他の作品であったならば事件が起こらないことは問題だとして取り上げているでしょう。 まずもって物語の核ともなる事件を起こし、ストーリーの幕開けにすると「いろは」でも言いました。 ですが、そればかりが「惹き」ではないです。 文章運び然り、複雑なキャラ心理然り、謎然り。 SFというジャンルは、得て不得手がかなりはっきり分かれる分類です。 好き好んで読むという人間は、SF的要素を取り込むだけでそれ自体が「惹き」となるものだったりもします。 ロボットが出てきたら燃える、美少女が出てきたら萌える、男同士の絡みが出てきたらそれだけで読む価値はある、と考える人もいるように(ちょっと極端な例えかな?)、SF作品はSF的要素が並びたてられる文章というものが十分な引きになるかと思います。 それを好んで読む人間が、読者層であるというのが最大のポイントです。 「生物学的椅子取り遊戯」はその要素が序盤から仕込まれ、脳細胞を刺激してやまない文章運びとなっています。 ボクみたいな頭の悪い人間には理解に窮する部分もありますが、それもまた一興、得手とする人間ならばよだれを垂らしてくれることでしょう。 でも出来るのであれば、やはり何かしら事件を起こしてキャラ心理を揺さぶる展開を早めに作ったほうがいい、というのは言うまでもないです。 SF的要素だけで読書欲が満たされるという都合のいい読者様はいないはずです。 次なる引きを作ってあげてください。
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