10人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
喜一が拳を握り、意外と腰の入ったパンチを相手の顔面めがけて繰り出す。相手が避けたので命中はしなかったが相手を引け腰にするには充分だった。
「…テメェ‼逆らってんじゃねぇんだよ‼」
もうこいつは口だけだな。完全に喜一にビビってる。
「喧嘩した事ねぇのはオメェじゃねぇのか?」
清志が言う。
「つ~か、集団でいじめしかした事ねぇんだろ?」
さらに定治が言う。
「いじめてる奴から反撃されるとは思ってもねぇんだろ。どうよ?テメェが言ってた負け犬に噛み付かれた気分は?」
俺が言うと喜一はさらに相手に殴りかかる。いいじゃん。喜一。熱くなってんねぃ。
振り回した喜一の拳が相手にヒットする。相手は完全に喜一の気迫に押されている。
「喜一‼もう一押しだぜ。」
腕組みして定治が言う。
その声に後押しされたかの様に喜一はさらに相手に殴りかかる。喜一の拳が再び相手にヒットする。
「…悪かった。もうオメェには手出ししねぇよ。」
…こいつは本当にダメな奴だ。やれやれと言った感じで見ている定治と清志をよそに
「…んな簡単にやめれんだったらよ‼ハナっから、調子くれてちょっかい出してんじゃねぇんだよ‼」
そう言ってる俺を抑える定治と清志。
「オメェの言ってる事は間違ってねぇよ。けど、もうこの喧嘩はしまいだ。」
「そうそう。喜一スッキリしたか?」
無言で頷く喜一。
「んじゃ、行くべぇか。」
俺を引きずって帰っていく定治と清志。それを追い掛ける喜一。
…その後、喜一にちょっかいを出してくる奴はいなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!