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それから何日もサツからの尋問を受ける羽目となった。母親がどうとか、前科がどうとか。むちゃくちゃに言われ続けた。その度に、俺は違うと言い続ける。
そもそも、殺人の容疑をきせられた原因は、捕まった2日前にさかのぼる。
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その日の夜。家に帰った俺は、ドアに鍵がかかってたからベランダから入ることにした。団地の2階だ。パイプをつたえば簡単に登れる。しかも、水商売の母親は、いつも何故かベランダだけ戸締まりを忘れる。しかし、その日に限って間違えて隣のベランダにきてしまった。間違えたと思って、中をまじまじと眺めてしまった。それが間違いだった。俺は初めて"死んだ人間"を見ることとなったのだ。まるでアトリエのような部屋には、ぐったりと頭から血を流して倒れている隣人の姿があった。怖くなった俺は、死体に背を向けてベランダから飛び降りた。自宅にも戻れるが、流石に気味が悪くて戻れない。だから、俺は一目散に友達の家に逃げたのだ。
そして、それを隣人の真上に住む"桂木"という性悪の男に見られたというわけだ。
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「お前には窃盗、強盗、スリなどの前科があるんだぞ!!今回はエスカレートして殺っちまったんじゃないのか?」
刑事が冷徹な眼差しで俺に問い詰める。
「違う!!俺は絶対に殺ってない!!!!」
「しかし、目撃者がいるんだよ!!」
バンッと机に拳を叩きつける刑事。
「…まぁいいだろう。」
俺に睨みつけられ刑事は一歩ひいた。
「ひとまず、弁護士でもたてておくんだな。」
「…弁護士!?」
「お前を裁判にかける。まあ、前科持ちのお前につく弁護士がいたらの話だけどなっ。」
そう捨てゼリフを吐いて、刑事は出て行った。ただ、呆然とする俺は手錠をかけられ豚箱の中にしまわれた。
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