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「…弁護士。」
あきらめた"それ"は目の前にいた。
「ずっと、テレビで見てたんだ。まだ弁護士が決まってないんだろう?」
男は笑顔を崩さずに言った。
「私に君の弁護を担当させてはくれないか?」
俺は耳を疑った。
「でも‥お」
「知ってるさ。君のことをテレビで見ない日はないよ。過去に何回も補導されたりしたんだろ?それに向こうもちゃんとした目撃情報があると来てる。」
男はスラスラと言った。
「なら、どうして!?勝ち目はない!!」
男は少し間をおいてから語りだした。
「今月末に事務所をたたむんだ。こんなくたびれた男には誰も依頼をしなくてね。だから、君のことをニュースで見た時、最後にこの子のために法廷に立ちたいとそう思ったんだ。」
「俺のために…?」
「君はやってはいないんだろ?運悪くあそこに居てしまっただけなんだろ?」
男は急に真剣な顔で言った。
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