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「ハアッ…ハアッ…やっ…やめて!ハアッ……こっ…来ないで!…」
一人の少女が薄暗い渋谷の路地裏を駆けていた。
「なんだよ~つかさちゃ~ん…そんなつめたいこといわないでさ~、オレと仲良くしてよ~」
その背後から不良っぽい男が一人とその舎弟らしき輩が数人、ニヤニヤしながら徐々に近づいてきていた。
ガシャン!!
つかさと呼ばれた少女は、上に有刺鉄線の張られた高さ3メートルほどのフェンスの壁に突き当たっていた。
男たちを掻い潜って逃げることも、フェンスを登って逃げることもできず、泣きながらフェンスにしがみついてガシャガシャと揺らしている少女に、不良達はさらに距離をつめていく。
「さぁ~て…、やっと捕まえたぞつかさちゃん」
そう言ってアニキ分と思われる男がつかさの腕をつかむ。
「やっやめて!…さっ…触らないで!…あっあぁ!やっいやっ!……」
つかさは必死に抵抗しようとするが、か弱い少女の力ではが体のいいいかにも喧嘩なれしていそうなその男にはとてもかないそうになかった。
「いやっ!…お願いっ……やめて…ぁっいやー!!…」
「うるっせぇんだよ小娘がっ!おとなしくしやがれ!…どんなにさわいだって誰も助けになんて来やしねーんだよっ!」
―誰も助けになんて来ない……―
そう悟とつかさは観念したように目を閉じた。
それが分かった男は、強引につかさの服を破きはじめた。
「へっへっ…分かってるじゃねーかつかさちゃんよー……」
ドンッ!!
男が言い掛けた瞬間……背中に何か重いものがぶつかった。
「っ!…いってぇな!一体何……」
男の背中にぶつかったもの…、それはものというより人。その男の舎弟だった。
「こっ…これは……?」
男がそう呟いたとき、またしても舎弟が一人目の前に飛んできた。
二人とも泡を吹いて気を失っている。
「オイッ?…おまえらいってぇどうし…」
ジャリッ…
男はようやくその原因に気付いた。
自分から5メートルほど離れた所に一人の高校生が立っていた。
左胸には『神』の文字の校章が光っている。
「だっだれだテメェー!?……いつからそこにいやがった!…」
男はあわてふためきながらも相手を威嚇するように叫んだ。
そんな男をよそに、少年は薄笑いを浮かべたまままったく反応しない。
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