娘は父と言葉を交わす

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「別に出来る出来ないかんけいないじゃないか 君はただ据え膳上げ膳で あとは彼女が 炊事?オッケイ! 洗濯?オッケイ! てなもんで」 そう言う総理さんの横で、ヤバいさんは羽の様な手で顔を覆う。 照れ隠しだ。 困惑する僕は、当然総理さんに言葉を返す。 しかし、急には思い付かない。 いや、だから、その といった言葉を繰り返しているうちに、もっともな理由を見つける事に成功した。 そして、それを口から言葉に直して 反論をする。 「見られたら 死んじゃうじゃないですか!!」 「たがらキミは死なないんだってば」 僕の反論は即座に切り返された。 なるほど、そういやそうだった。 戸惑いを隠せない僕の顔を見ながら、総理さんはそれはそれは冷静に ヤバいさんとの生活ついて説明してくれた。 「彼女は目隠しをする、生活には慣れているし 野性的知覚で通常生活になんら問題は無い。 この目隠しは 東南アジアのみに生息する サティポジァビードル その腸のスジを3万匹分編んだ呪毒の『アース』だ」 長々と説明を続ける総理さんには悪いが、正直あまり理解出来なかった。 特になんだ?東南アジアの…? サティジポ……だめだ、もう思い出せない。 「だから安心して生活を共にしろ 君にしか出来ない 君に出来なきゃ誰にも出来ない」 総理さんが僕の肩を叩いて諭すが、困惑の渦から逃れられはしない。 何とかして断りたい、そんな気持ちだ。 「……それにさぁ 君……定職につかないで国の金で飯食って… やっぱそういうのよくないジャン… 勤労の義務……って知ってる? 三大義務…」 僕が怪訝な態度をとるやいなや総理さんは揚げ足をとるように僕のニート生活をたしなめる。
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