初めての電話

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  軽い二日酔いの頭を抱えながら お昼近くに目を覚ました。     (今日も電話来るかな……)     仕事が休みの今日は 予定も何もない。   引っ越して来たばかりの部屋で 夏の訪れを感じながら まったりと過ごしていると 携帯が鳴った。     『もしもし……』   『ニシムラです』   『はい……』     初めての電話は こんな風にぎこちない 始まりだった。   私はまず 電話に出られなかった事を 謝った。 そして掛け直さなかった事も。   ソウタは   『避けられてるのかと思った』   そう言って笑った。 私も笑った。   電話の向こうのソウタの声は 甘くてくすぐったくて どこか安心させてくれる様な 心地よさを感じた。     なんて事ない話を30分ほどして   『そろそろ休憩終わるから』   とソウタが言った。     私が   『また電話してね』   と言うと   ソウタは   『するけどさ……  ナナカは出てくれないから』   と言ってまた2人で笑った。     『じゃぁね』   そう言って 初めての電話を切った。
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