少しずつ

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  お互いがお互いを知り始めた頃 ソウタは   『ずっと  聞きたかったんだけど…』   と切り出した。   『ナナカはカレシ居るの?』   ……少しビックリした。   ソウタはそんな事を 聞くタイプではないと 勝手に思い込んでいた私。   ―――私にカレシが居ても    居なくても関係ない―――    私とソウタの関係は………   そう思っていたんだ。   『居るって言ったら?』   ソウタは少し考えて   『居たら悪いじゃん?  カレシにさっ』     声のトーンも変えずに ソウタは言った。   『居たら男の人に  電話番号教えないよ?』   私が答えると 本当に本当に安心した様に   『良かった』 とソウタは呟いた。       カレシが居たら 女だけでスノボも行かない。   女だけで呑みにも行かない。   カレシ以外の人と 頻繁に連絡なんて取らない。   それは私の中での 《恋愛の掟》の様なものだ。   私は恋愛中 相手には自分だけを 見ていて欲しいと思う。 何もかもから 私を優先にして欲しい。   私は周りを見失う。   自分が傷つく事は 相手にもしてはいけない。   それが私の恋愛観だった。   ちょっと重たい女だと思う。   試行錯誤を繰り返しながら 夢中になって   傷つきながら   苦しみながら   一瞬のシアワセを 噛み締めていた時もあった。   でもサヨナラはやって来た―――   ソウタと出逢う1週間前の 出来事だった。         私の2年の恋が終わった。
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