第2話

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…   …   ピ-ンポーン ピーンポーン   「…ゔ」   僕は部屋に響くインターホンの音で目を覚ました。   頭が割れそうな程痛い。   茶色い小瓶が転がり中の薬が床に散らばっている。   …どうやら、僕は死ねなかったみたいだ。   ピ-ンポーンピ-ンポーン   誰かが僕を呼んでいる。   いつもの僕なら無視しただろう。   でも、その時は何故か…   その呼び出しに応えなければいけないような気がした。   そうしなければ一生後悔するような…   そんな気がした。     鍵を外し   ドアを開ける。   開けられたドアの隙間から差し込んだ朝日が僕の顔を照らし、視界を一瞬だけ白く染め上げた。   朝日?   視力が回復してから、目を細めて視線を落とす。   「おはよう!」   聞き覚えのある声   「あんまり遅いから心配しちゃったよ」   はにかむような笑顔を浮かべ、うつむき加減で僕を見る大きな瞳   「今日は約束通り、私に付き合ってね?」   夢?   いや、夢じゃない。   ならここは天国?   「どうしたの?なんか顔色悪いよ?」   綺麗な黒髪を揺らしながら心配そうに、唖然としている僕の顔を除き込む   「あッいや!なんでもないんだ!!今すぐ用意するから悪いけどちょっと待ってて」   「うん…じゃぁ出来るだけ早くしてね」   まるで咲く季節を早まってしまった向日葵のような無邪気な笑顔   「あぁ、急ぐよ!」   そう言い残すと僕は部屋に戻った。     信じられない…   すっかり頭の痛みなど忘れてしまっていた。   それほど目の前で起こっていたそれは衝撃的なものだった。       あんなに会いたかった…   もう2度と会えないと思っていた…   もう2度とほほ笑んでくれないと思っていた…         そう     君がそこにいた。
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