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自分でも薄々は感じていた。
父ちゃんの体をすり抜けたときに
でも 否定したかった
認めたくなかった
考えたくもなかった
いや むしろまだ夢だと思ってるし 夢だと思いたい……
だが…
ここに横たわってる人はまぎれもなく自分だ…
毎日、鏡で見ている自分だ…
死んでいる事は間違いない
だって枕元に線香が煙だしてるんだもん
俺はまだへたりこんで手で顔を覆ってる美江を横目にゆっくりと立ち上がり恐る恐る死んでいる自分の顔を見た
うん
我ながらいい男だとは思うが鼻に綿が詰められていていささか マヌケに見える。
割れたガラスで傷付いたのか顔もあちこち傷がある
俺は、そーっと自分のおでこを撫でた もちろんすり抜けているが撫でた。
涙は出てないが悲しくてたまらない
どーして良いのかもわからない。
受け入れるしかないのか…
受け入れるにはあまりに皮肉な出来事だ
誕生日の日にこの体
つまり幽霊の俺が誕生するなんて……
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