273人が本棚に入れています
本棚に追加
/215ページ
「パパ 兄ちゃん居なくなっちゃった…」
え!?
(優太! 兄ちゃん居るぞ! ほら居るぞ!)
優太の前で話し掛けたがもう見えてもないし聞こえてもなかった…
子供だから見える時と見えない時があるのか…
「優太…居なくなったって 兄ちゃんはもう居ないのか?」
親父が聞くと、またコクンとうなずいた
親父は俺が居る所は全然違う空間を見て
「久… 心配するな… 心配するなよ…」
母親も親父が見ている空の空間を見て
「久 また来なさい お願いだからまた……」
俺はただ立ち尽くし聞こえないのは承知で(ありがとう ありがとう)と優太に訴えた。
俺の居なくなった つまり見えなくなったこの部屋はまた静けさが訪れ 優太も疲れたのか雅子さんの胸の中で寝息をたてた
両親は眠れなかったようだがこうして夜は更け 俺のお通夜は終わった
最初のコメントを投稿しよう!