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俺は死んでから眠くもなければ寝てもいない ただただ静まった家を徘徊したり柱を背に体育座りしたり…
食欲もなければ性欲もない 生前はどっちも強かったのに…
眠れずにいた両親がようやく寝たかな って頃20センチほど開いたサッシとサッシの間が黒から紺色に…そして薄グレーになってきた
…朝か……
今日俺、焼かれるんだった…
そーいえば 周りの人の事や今の自分の事でいっぱいいっぱいで火葬なんて考えてなかったな
いや わざと考えなかったのかも…
だって生まれた時から一緒だった体が灰になるんだもんな
やだな…
もしかしたら
自分の体が灰になって無くなったら今の俺も『無』になるのかな…
『無』!!?
やだ! やだ!
絶対やだ!
まだ未練たらたらだよ
みんなと離れたくない!
俺の想いとは裏腹にサッシの隙間は薄グレーからオレンジ色の混じる水色へ姿を変えていった…
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