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放課後、静まり返った教室に、塔子と雅史が置き去りにされている。
あたしたちは、その様子を見る。
息を呑んで、その瞬間を待つ。
「塔子…」
最初に切り出したのは雅史。
「な、何?」
「あのさ、この手紙…。」
「手紙?」
「嬉しかったよ、ありがとう。」
「え?」
塔子は訳が分からないままだ。
当たり前、それはあたしが書いたんだから。
「俺も塔子が好きだよ。」
雅史言った!!
塔子の返事は?
「え…?」
雅史はもじもじしている。
輝もあたしも塔子を見る。
「あ、私も。」
やった!!!!
あたしは輝の顔を見る。
輝も「やった」って顔をしている。
「でも、手紙なんて書いてないよ。」
塔子が突っ込む。
ボロが出そう。
「それに、私にも雅史からの手紙が来てたわよ?」
「ええ!?」
そこで、輝が割って入った。
ガラリと教室のドアを開けて、言う。
「ごめん、それ、俺たちの仕業。」
嗚呼、ばらしちゃったよ、この人。
どうするの?
どうなるの?
「輝と美亜?」
「酷い。」
口々に非難の声がする。
嗚呼、ごめんなさい。
でも、これもそれも、ふたりをくっ付けたかったからで…。
言い訳しか浮かんで来ない。
当たり前、自業自得。
「まぁ、いいけど。」
と、雅史。
「お前らのお陰で塔子と付き合えたんだから。」
「それもそうね…。」
言い訳しなくても、事故簡潔しちゃったよ、おい。
輝とあたしは顔を見合せて、驚いていた。
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