希望

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ある休日、一家五人で遊園地に出掛けた。 とても天気がよかった。 パパは子供たちと一緒になってはしゃぎ廻っていた。 いろいろな乗り物に乗り、食事をし、家族で思う存分遊園地を楽しんだのだった。 「さて、そろそろ帰るか」 私たち五人は遊園地から出て、駅へ向かって歩いていた。 夕日に染まるオレンジ色の空がとても綺麗だった。 後ろには小さい子供一人を連れた夫婦が私たちと同じように駅に向かって歩いていた。 しばらく歩いてた時である。 「あっ!」後ろの夫婦が声をあげた。 「ドン!!!!!」大きな音がした。 「キャーーッ!!」私と後ろの夫婦が同時に叫んだ。 そこには後ろの夫婦の子供をかばって車にはねられた夫の姿があった。 私はすぐさま駆け寄ったが夫の意識はない。 すぐに救急車を呼び、夫は病院へ運ばれた。 しかし、まもなく夫はそのまま意識を取り戻すこともなく静かに息を引き取った。 「なんで?なんでなの?なんであなたのような人が死ななきゃならないの?どうしてあなたはいつも他人の命を助けようとするの?自分が死んじゃってどうするのよ!!」私は亡くなった夫の胸に顔をうずめて泣いた。 あんなに優しかった夫が死んでしまった・・・。 せっかく訪れていた幸せが一瞬にして奪い去られてしまった。 再び私を襲う『絶望』の二文字・・・・・。 しばらく顔を伏せていると閉まっているはずの窓のカーテンがヒラリと揺らいだ。 「パパ?パパなの?」私はとっさに感じた。 それはあたかも霊になった夫が「どんなに辛いことがあっても必ず生き続けるんだよ」と訴えかけているかのように私には思えた。 「そうだ!!私はもう決して望みを失わない」 あの日私を死の直前で救ってくれた夫、そして、未来ある子供を命を懸けて救った夫。 私はこれからどんなことがあっても夫が残してくれた『希望』というメッセージを胸に三人の子供と共に力強く生きて行こうと決めた。 「そう。彼はこれからもきっとどこかで私たちを見守っていてくれるに違いない。そして私たちの心の中でずっと彼は生き続けるの」 私は傍らにいた三人の子供を抱き抱えていつまでも泣き続けた。
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