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「井口」
「はい」
「小原」
「はい」
私の担当する1年A組(と言っても1学年1クラスしかないのだが)は男子8名、女子10名の18人。
皆活発で明るく、笑いの絶えないクラスで、いじめや、ケンカをしているという話も聞いたことがない。
「よし、みんないるな。じゃあ、一時間目は数学から始めようか」
「えー!」
生徒達のブーイングが、教室中に響き渡る。
仕方がないだろう。この学校には、『時間割』と言うのを張り出す習慣がない。
教頭は「生徒の欠席を減らす為だ」などと言っていたが、朝から生徒のブーイングを聞くのは、ちょっと辛いものがある。
それどころか、この学校には、掲示物が一切張り出されてはいないのだ。
始めは不思議に思ってはいたが、慣れてくるとだんだんそれが普通になってしまい、今では、毎朝行われる『時間割発表』が楽しみにすら思えるようになっていた。
「なぁんてな。1時間目は体育だ。みんなでサッカーやるぞー!」
「おー!」
やっぱり田舎の子供達は良い。
以前赴任した都内の中学校は、何をしてもただ黙々とやるだけの、機械見たいな生徒ばかりだった。
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