2.『セカンドライフ』

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       目の前で死んでいく生徒を見るのは、身を引き千切るように辛かった。  瞳から溢れてくる涙は止めどなく流れている。  何よりも怖い。  呼吸もままならず、さっきから胸に激痛が走っている。 「逃げなくちゃ、ここから。逃げなくちゃ」  行動を肯定するように、口から漏れる「逃げなくちゃ」という言葉。  目の前で、3人の人が死んだ。  それは、紛れもない事実だった。  ガランとした街中に一人、ふらふらと目的地の警察署へ向かう。  息も絶え絶えに電柱に寄り掛かると、ガラス窓に映る自分がいた。衣服は汚れ、朝、綺麗にしてきた化粧も崩れてしまっている。  警察署は安全。  今は、それを信じて進むことしかできない。 「土田先生!」  また誰かが私を呼ぶ。 「いい加減に……してよ」  休息を取る暇もない。  もはや自分も、死んだ彼らのようになってしまったほうが楽だろう。  走っても、走っても、また来る恐怖。 「もう……無理」  諦めたようにアスファルトに膝をつく。 「逃げないでください」      
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