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もたれかけたドアの後ろで、高島さんの声がする。
「来ないで! 誰か来て! 助けてぇ!」
グイグイと押してくるドアを必死に押さえた。
開けられたら殺される。
今はそれしか考えられない。
しかも、錯乱状態の私には、もう何も理解することはできなかった。
何が安全で、何が危険かも。
「ここをあけて! 早くこの村を出ないと!」
「やだ! 止めてよ! そうやって騙して、私もあんなふうに殺すのね!」
「違う! 危険なのはここなんだ! 僕を信じてくれ!」
押さえきれないほどの力。
もうだめだ。自分は高島さんに殺される。
そう、思った瞬間。
後ろ―――。
さっきからちらついていた思考が私を振り返らせる。
「無理よ……もう無理よ! みんな死ヌ……の」
「土田先生!」
「あ゛ぁァ゛ぁ゛……」
そう、私も死ぬの。
あなたも――。
怖くはないわ……。
ただ、生まれ変わるだけ。
新しい生活―――セカンドライフが始まるの。
「つ……ちだ……せん……」
ペコン。
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