3.『連鎖』

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       いつもは近いはずのスーパーが、かなり遠く感じていた。  疲れているせいか、それとも感覚が麻痺しているせいか。 「着いたぞ」  スーパーの中は閑散としてはいたが、ウィンという自動ドアの音が、『今現実にいる』という実感と少しの安心を与えてくれる。  私達は、とりあえずカラカラに渇いた喉を潤すため、ペットボトルの水をガブガブ飲んだ。 「くはぁー。これで、少しは回復できたな」 「そうだね。あとは……何か食べないと」  段積みになっていた買い物カゴを取り、めぼしい物をガンガン入れていく。 「一回、やってみたかったんだよ」  竹下君は唐突にそんなことを言う。 「えっ、何を?」 「好きなものを、好きなだけって。家……貧乏だからな」  そう言うと、少し照れくさそうに頭を掻いた。  口にしたのは水だけだが、少しは気持ちに余裕ができたのだろう。  何にせよ、これで『籠城』(ろうじょう)の準備はできた。  あとは、助けを呼び、待つだけ。  一種の、賭けだ。  私達が死ぬか。  生き延びるかの。      
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