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校門は、人がギリギリ出れるほどの隙間だが、開いていた。
きっと誰かが逃げ出したのだろう。
「入れるか?」
先に入った竹下君が向こう側から手を伸す。
私は身体を横にすれば簡単に入れたが、食料が大量に詰め込まれたカートが通らない。
「しょうがない。開けるか……」
竹下君は力を込め、精一杯に校門を引く。
「くそっ! 開かねえ」
「私も手伝うよ」
「じゃあ、せーのでいくぞ。せーの!」
ガッ、ガガガ……。
「開いたか?」
「うん、大丈夫みたい」
「じゃあ、カート入れようぜ」
「うん」
外に置き去りになっていたカートを校庭に引っ張り込んだ。
必死で気付かなかったが、校門の錆で手が赤茶色に染まっている。
「入れたれた……けど、どうする?」
左手にそびえるデス・スクールを見てしまわないよう、竹下君は新校舎をじっと見つめながらそう言った。
「うん。とりあえず……保健室かな? あの人の連絡先、あるかもしれないし」
「よし。じゃあ、さっさと見つけて、こんなところ早く立ち去ろうぜ」
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