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「そうだね、なんだか嫌な雰囲気だし……」
二人とも同じ気持ちだろう。
確かな悪寒。
本当なら、こんな所は死んでも、いや、生き延びるためではないかぎり来たくはなかった。
「保健室……だな」
昇降口からではなく、ちょっと開いていた窓から学校に進入する。
「誰も……いないよな」
私が持ってきたビニール袋に食料と水を詰めていると、竹下君は先に入り、周りをキョロキョロしてから、私の手を引いてくれた。
「大丈夫そうだ。それより、誰もいない学校って何か嫌な雰囲気だよな」
「そうだね。早く探そう」
そう言いながら、保健室の机の中を物色し始める。
誰もいないので、周りを気にせずガサガサと散らかしながら。
「竹下君は、そっち探して」
ぼーっとしている竹下君を一喝し、書類だらけの引き出しを漁った。
「なぁ……」
「何? 早く探してよ」
「なぁってば!」
「何!?」
なかなか見つからない探し物にイライラしていたので、いつまでも動きださない竹下君を、キッ、と睨む。
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