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「さてと! じゃあそろそろ暗くならないうちに帰るね。また来年もくるから」
トワは鞄を背負い墓に手を合わせると立ち上がる。
そして黄色い屋根の小屋の正面まで歩いて行った。
「今年もお母さんをお願いします」
なぜこんなところに小屋があるのか分からなかったが、見るたびにいつも安心感を抱く。
まるで、墓を守っているようなのだ。
トワもこの小屋になら、不思議と母の墓を任せられるような気がする。
小屋を後にすると、トワは帰路(キロ)を急いだ。
風が少し強くなり、散っていく落ち葉がトワの顔をかすめていく。
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