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トワは毎年通る森の帰り道をずんずん進んで行った。
「ここをこっちに曲がって……」
次の道を曲がると、もうすぐ森の出口だ。
「最後にここを通ったら森から出れるはず……って、あれ!?」
あるはずの森の出口はそこにはない。
目の前にあるのは異様な形に枯れ、黒光りした木々だけだ。
「なん……で……!?」
来た時よりもあたりは暗くなっているがここは毎年来る森だ。
間違うはずがない……。
おかしいなと首をかしげながらトワはあたりを何度も見わたす。
一旦来た道を戻ろうと思ったその時、いきなり突風が吹き荒れ木々を揺らした。
トワは思わず目をつぶった。
「うぅ……――!」
すると突然風がぴたりと止む。
「なん……だったの!?」
トワは目を開け辺りを見回しながらふらふらとよろめいた。
近くにあった木に手をつき顔を上げると急に視界が開ける。
「わぁ……――!」
突如目の前に飛び込んできた景色に思わず声をあげた。
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