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風がどんどん強くなり桜の花弁も激しく舞い上がる。
トワは手で頭をおおい思わずうずくまった。
「な、なにこれ……!?」
風の強さはどんどん強く激しく渦巻き、まわりの音も風の音以外は聞こえない。
息をするのも苦しく、目を開けるのも難しい。
「うぁ……――!」
気がつくと風の強さで舞った桜の花弁がトワの足に絡み付いていた。
「……えっ!?」
先ほどの優雅さはどこにもなく、凶暴化した花弁はどんどん量を増し、トワを覆いつくそうとする。
「ちょ……ちょっとっ!?」
もうすでに体の半分が桜で覆われ身動きが取れない。
みるみるうちに花弁はトワを覆っていく。
「……っ!」
トワは風の強さと花びらの圧力で今にも気を失いそうになり歯を食いしばった。
――や……だっ!
花弁はトワのすべてを覆いつくした後も風の勢いは止まらない。
――……!!
必死で保っていた意識が遠のいてゆき目の前が突如真っ暗になった。
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