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◆ ◆ ◆
「ふぅ……」
子供達が走り去って見えなくなると、魔女は手に持っていた塊を払った。
「よいしょっ……と!」
そういうと魔女は手を顎の下に引っ掛けると、醜い老婆の皮を脱ぎ始める。
そして老婆の皮をめくった下から、凛々しく美しい童顔が現れた。
取ったカツラの下からは緩やかにウェーブのかかった長い金髪。
風が吹くと華やかな金髪が絡まるように揺れ動く。
「侵入者追い出し作戦成功」
魔女は小声でぽつりとつぶやくと、小屋に戻ろうとした。
「おい。あんた老婆じゃないのか?」
突然背後から声が聞こえ魔女は驚いて振り向いた。
「……え? うわぁぁぁ!!」
魔女は思わず叫んだ。
森に入ってきた子供達は追い払ったと思って油断していた。
しかし目の前には追い払ったはずの少年が一人。
どうやら逃げずに、ずっと魔女のことを見ていたようだ。
「なんで、まだ子供がっ!?」
魔女はまだドキドキと波打つ心臓を押さえながら、少年を睨み付けた。
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