~白~

22/24
前へ
/145ページ
次へ
  ◆  ◆  ◆ 「ふぅ……」 子供達が走り去って見えなくなると、魔女は手に持っていた塊を払った。 「よいしょっ……と!」 そういうと魔女は手を顎の下に引っ掛けると、醜い老婆の皮を脱ぎ始める。 そして老婆の皮をめくった下から、凛々しく美しい童顔が現れた。 取ったカツラの下からは緩やかにウェーブのかかった長い金髪。 風が吹くと華やかな金髪が絡まるように揺れ動く。 「侵入者追い出し作戦成功」 魔女は小声でぽつりとつぶやくと、小屋に戻ろうとした。 「おい。あんた老婆じゃないのか?」 突然背後から声が聞こえ魔女は驚いて振り向いた。 「……え? うわぁぁぁ!!」 魔女は思わず叫んだ。 森に入ってきた子供達は追い払ったと思って油断していた。 しかし目の前には追い払ったはずの少年が一人。 どうやら逃げずに、ずっと魔女のことを見ていたようだ。 「なんで、まだ子供がっ!?」 魔女はまだドキドキと波打つ心臓を押さえながら、少年を睨み付けた。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

288人が本棚に入れています
本棚に追加