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外に出ると暁が待っていた。
「時間がないのです。早くしていただかないと間に合いません」
そう言うと暁はスタスタと歩き始める。
「早くしてってどういうこと? 少しくらい私の話を聞いてもいいじゃない!!」
トワは潤と霞の手をふりほどき前を歩く暁に詰め寄った。
しかし暁はチラッとトワを振り返っただけでスタスタと歩く足は止めずに言った。
「この廊下の先にある大きな扉が式場です。トワ様以外はもうすでに皆さんお揃いです」
暁は真っ直ぐに伸びるやや広めの廊下を姿勢よく歩き続ける。
トワの話など微塵も聞く気はないようだ。
「ちょっと!」
さすがのトワもイライラして大声を上げる。
「あなたはこの国の桜より召還されました。桜の意志は絶対。このマルスティア王国現国王のクルド様の正室になっていただきます。あなたに断る権利など初めからございません。従っていただきます」
暁は歩く速さをゆるめることなく淡々と言った。
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