288人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ
「なんでそんなの勝手に決められなくちゃいけないのよ! 何で私なの!?」
トワは何度も暁に詰め寄るが、もう暁はトワと話す気はなさそうだった。
トワは歩みを止めて、仏頂面でまわりを見回した。
壁も柱も扉も全てが真っ白だ。
どうやら建物すべてが、白で統一されているらしい。
真っ直ぐに続く白い壁までもが、トワを見放しているような錯覚におちいる。
「もういい。私は自分でバルト国に帰る方法を見つけるから。結婚式になんて出るもんですか」
トワは重いドレスの裾を手でたくしあげると、もといた部屋に戻ろうと引き返した。
怒りを隠す事なく大股であるいてゆく。
しかし後ろからついてきていた潤と霞に腕をつかまれ、ひきずり戻されてしまった。
「放して!!」
いくら暴れても、強い力で押さえられて逃げれない。
トワは暴れながら二人の顔を交互に睨みつけた。
こんな細い二人は、一体どこにこれほどの力があるというのか。
すると暁の止まる音が聞こえた。
「つきました」
最初のコメントを投稿しよう!