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トワはまだ緊張感の残る足取りで一歩扉の中へ踏み出した。
それだけでもわかる。
この中の雰囲気は決してトワを受け入れているものではない。
周りからザワザワと人の声が聞こえた。
明らかにトワを馬鹿にした声や嘲笑まで聞こえてくる。
細かいことは考えてはいられない。周りの雰囲気に流されてせっかく決めた覚悟を台無しにしてはならない。
トワは雰囲気に圧倒されながら、ひたすら同じことだけを心の中で唱え続けた。
ふと今更ながらこんな状況であるにも関わらず、普通に立っていられる自分はおかしいのではないだろうかとトワは思う。
もう……どうにでもなってしまえ!!
一歩、また一歩進むたびに空気が重く感じる。
前が見えないという不安も緊張の原因の一つだろう。
トワは緊張のあまり、今まで感じたことのないほどの吐き気におそわれた。
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