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顔がもう少しで見えそうになったその時、
トワは思いっきりしゃがんだ。
その拍子にショールはジャラジャラと、大きな音をたてて床に落ちていった。
しかしトワはそんなことを無視して、後ろを振り向き低姿勢のまま思い切り人混みの中に飛び込んだ。
もともと走るのは得意な方だ。
足には自信がある。
トワはこのタイミングをはじめから狙っていたのだ。
そして、決して後ろを振り向かず低い姿勢は保ったまま人ごみをかき分けてひたすら走った。
周りがざわめいているのを気にしてはいられない。
捕まったら最後だ。
走りにくいので衣装の裾をあげながら必死に走る。
どこに行ってるのか分からない。
しかし、とりあえずこの大広間からは出なければ。
トワはひたすら走り続けた。
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