288人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ
「っ!! 追い出そうとした!! なのに、お前は私が仕掛けた罠を平然と乗り越えてくるんだよ!」
そう言うと魔女は壁に掛けてある、大きな森の地図らしきものを指差した。
その地図には森の動物達の情報や、罠などの設置箇所が事細かに書かれている。
そして、驚いたことにその地図には魔法がかけられているらしく、動物達が動けば同時に地図の中の赤や青の様々な色の点が、動きまわる仕組みになっているようだ。
これで森への侵入者を察知して、罠を作動させているというわけだ。
こういう特殊な道具を見ると、目の前で怒っている童顔の少女が、本当に魔女であることを実感する。
「へぇ。あれは俺を追い出すための罠だったんだな。てっきり獲物をとるためだと」
トキは魔女の反応を面白そうに眺めていた。
「なんだとっ!」
「あれぐらいなら街の子供でも楽に入ってこられる。前みたいな脅しの方がよっぽど迫力があったぞ」
トキはふっと笑うと手に持っていた新聞を畳んだ。
最初のコメントを投稿しよう!