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「今度はほんとに空き巣狙いをするかもしれない俺を家に置いていくのか? 物騒だな」
トキはわざとらしく神妙な顔で肩をすくめた。
またもしこの小屋で一人になったのなら、まだ見たことがない二階を探索するのも面白そうだとトキは内心で考える。
まあ、魔女はもう二度とこの小屋にトキを一人にすることはないだろうが。
「お前が帰らないからだろ!」
しかしそんなトキを見て魔女は慌てて睨みつけた。
「……なるほど」
未だに魔女はトキを警戒している。
これ以上ここにいても何もまともな話は出来ないだろう。
今日は大人しく帰るしかなさそうだ。
「なら俺は、帰るついでにあんたの買い出しに付き合う」
「いらん! そのまま帰れ」
魔女はトキを無視してドアから出て行こうとした。
しかし後ろからトキが近寄り笑顔で魔女の腕をを引っ張り手を掴んだ。
「やめろ離せ!!」
魔女は力いっぱい抵抗するがトキは手を離そうとはしないままドアまで引っ張られる。
「そんな攻撃的にならなくても俺はあんたに何もしない。ただ……知りたいだけだ。あんたのことを」
トキは一瞬ひるんだ魔女に笑みを返して、魔女の手を掴んだまま小屋を出た。
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